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入試数学を自由に解く(医科歯科大2013年第2問)
注意事項

このカテゴリ「入試数学」は, 指導要領にとらわれず, 自由に入試数学を解いてみよう
というカテゴリです.
入試で使えるような補足も入れていくつもりです.
高校の課程の範囲で解いたほうが優しい,
そのまま解答として使ったら満点はもらえない可能性が高い,
などの欠点があります.
高校生の範囲で書ける答案は既に世の中に氾濫しているので, そちらを参照してください.

また, この記事の内容を利用したことによる弊害等に対する責任は一切負いません.
無断転載はもちろん禁止です.
間違いやご意見, このカテゴリで取り上げて欲しい問題等がありましたら教えてください.

このサイトの数式は, MathJaxを用いて表示しています.
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PCなどを用いてJava scriptをオンにして御覧ください.



さて, 本文です.

今回扱うのは医科歯科大2013年度入試の第2問です.
ユニモジュラーとか呼ばれている行列の部分環
ってとこでしょうか.
計算していって最後はしらみつぶしってことになるんでしょうかね.
行列式の性質を用いることで, (2)が簡単になります.
高校でもそのくらい習うかもしれませんが・・・


問題(医科歯科大理系2013年度入試第2問)


2次正方行列 $\displaystyle \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}$ のうち, 次の3条件(i), (ii), (iii)を満たすもの全体の集合を$M$とする.

(i) $a$, $b$, $c$, $d$ はすべて整数
(ii) $b + c = 0$
(iii) $a - b - d = 0$

また $E$ を2次単位行列とする. このとき, 以下の問いに答えよ.

(1) 行列 $A$, $B$ がともに$M$の要素であるとき, それらの積 $AB$ も$M$の要素であることを示せ.

(2) 行列 $\displaystyle A = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}$ とその逆行列 $A^{-1}$ がともに $M$ の要素であるとき, $ad - bc = 1$が成立することを示せ.

(3) 行列 $A$ とその逆行列 $A^{-1}$ がともに$M$の要素であるような $A$ をすべて求めよ.

(4) 自然数 $n$ について, $M$ の要素であって $A^{n} = E$を満たすような行列 $A$ の全体の集合を $S_{n}$ とする. $S_{n}$ の要素がちょうど3になる $n$ をすべて求めよ.


解答

(1)
成分計算しましょう. 省略.

(2)
\[ A^{-1} = \frac{1}{\det (A)} \begin{bmatrix} d & -d \\ -c & a \end{bmatrix} \in M \]
なので, $\det (A)$ も $\det (A^{-1})$ も整数である. 一方,
\[ 1 = \det (E) = \det (AA^{-1}) = \det (A) \det (A^{-1}) \]
なので, $\det (A)$ と $\det (A^{-1})$ が整数であることから, $\det (A) = \pm 1$ である.
そこで, (ii), (iii)を用いると,
\begin{align*}
\det (A)
&= ad - bc \\
&= a(a-b) + b^{2} \\
&= \left( a - \frac{b}{2} \right)^{2} + \frac{3}{4}b^{2} \geq 0
\end{align*}
である. よって, $ad - bc = \det (A) = 1$.

(3)
$ad - bc = 1$だから, $3b^{2}/4 \geq 0$ かつ $b \in \mathbb{Z}$ より,
$3b^{2}/4 = 0 , 3/4$, すなわち, $b = 0,1,-1$ である.
それぞれ代入して $a$を求めると,
\[ (a,b) = (1,0), (-1,0), (1,1), (0,1), (-1,-1), (0,-1) \]
となるから, 求めるものは
\[
\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix},
\begin{bmatrix} -1 & 0 \\ 0 & -1 \end{bmatrix},
\begin{bmatrix} 1 & 1 \\ -1 & 0 \end{bmatrix},
\begin{bmatrix} 0 & 1 \\ -1 & -1 \end{bmatrix},
\begin{bmatrix} -1 & -1 \\ 1 & 0 \end{bmatrix},
\begin{bmatrix} 0 & -1 \\ 1 & 1 \end{bmatrix}
\]
である.
逆に, $\det (A) = 1$ ならば$\displaystyle A^{-1} = \begin{bmatrix} d & -b \\ -c & a \end{bmatrix}$ なので,
これは(ii)も(iii)も満たす. よって, $A^{-1} \in M$である.
よって, 上に挙げたものですべてである.

(4)
$A^{n} = E$ より $A^{-1} = A^{n-1}$ だから, $A$ は(3)で挙げたもののどれかである.
よって, 計算によって, (3)で求めたすべての行列について, $A^{n} = E$ となる自然数 $n$ を求める (省略) と, 次のようになる.

$\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}$ のとき, $n \in \mathbb{N}$
$\begin{bmatrix} -1 & 0 \\ 0 & -1 \end{bmatrix}$ のとき, $n \in 2\mathbb{N}$
$\begin{bmatrix} 1 & 1 \\ -1 & 0 \end{bmatrix}$ のとき, $n \in 6\mathbb{N}$
$\begin{bmatrix} 0 & 1 \\ -1 & -1 \end{bmatrix}$ のとき, $n \in 3\mathbb{N}$
$\begin{bmatrix} -1 & -1 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$ のとき, $n \in 3\mathbb{N}$
$\begin{bmatrix} 0 & -1 \\ 1 & 1 \end{bmatrix}$ のとき, $n \in 6\mathbb{N}$

よって, 求めるものは, $k$ を自然数として, $n = 6k - 3$ である.



解答終わり


今回の問題は, 計算を頑張れますか?
って意図で出題していると考えるのが良いんでしょうか?



追記(2013.4.25)

(4)は, Cayley-Hamiltonの定理を用いてベキを計算するのも手です.
それは, 固有多項式の形を見れば, $A$を何乗すれば$E$になるのかわかるからです.

追記ここまで
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